『サザエさん』は、長谷川町子による日本の漫画[1]。また、その主人公となる「フグ田サザエ」の呼び名の一つである。
原作漫画は新聞連載の4コマ漫画であるが、5ページほどのショートストーリー漫画が雑誌連載されており「別冊サザエさん」に収録されている。西日本新聞社から独立したフクニチ新聞社の整理部長牟田口宗一郎が長谷川に福岡の地方新聞『夕刊フクニチ』誌上での連載を依頼[1]。1946年4月22日から連載を始めた[1]が、長谷川が東京へ引越しするために連載を打ち切った。連載開始当初は、台詞がカタカナで書かれていた。漫画の舞台は博多で、サザエは独身だったが、連載を打ち切る時にサザエがマスオと結婚しており、福岡時代の最終回とみられる回のオチの部分が、小さいながらも『サザエさんうちあけ話』の作者の回想で描かれている。長谷川の家族が東京の桜新町へ引っ越した後は、『夕刊フクニチ』で連載を再開[1]。舞台も東京へ移り、マスオが磯野家に同居する。
本作はいわゆるストーリー漫画ではなく、一貫した舞台、人物が登場する比較的独立したエピソードからなる。季節が移り変わっても登場人物達は年を取らない形式となっており、いわゆる「サザエさん時空」の語源と言える。しかし、新聞連載の4コマ漫画らしく、時代背景を象徴する内容が多いのが一つの大きな特徴となっており、終戦直後から復興期の時代に描かれた初期から中期と高度経済成長の時代に描かれた後期とでは作風が大きく異なっている。特に、初期から中期にかけてはサザエとその家族および彼らの周辺の人物たちの日常生活が主な題材であったが、後期には主に社会風刺をネタにした作風が目立つようになっている[注 2]。連載は1974年で終了したが、1976年から1978年まで長谷川による『サザエさんえほん』が9冊刊行されている[3]。