米フロリダ州の池で溺れた男性を、10代の少年5人が目撃して笑いながらビデオで撮影し、助けも呼ばないまま放置していた問題で、警察は21日までに事件としての立件を断念した。男性は撮影が行われた数日後に遺体で発見された。
警察によると、男性は9日、フロリダ州ココアの自宅近くにある池で溺れて助けを求めていた。この場面に遭遇した14~16歳の少年5人は、男性の様子を2分間以上にわたって携帯電話のビデオで撮影しながら笑い声を上げ、助けを呼ぼうともしなかった。
少年たちが男性に向かって「死ぬぞ」とののしり、1人が笑いながら「死んだ」と言う声も収録されている。
フロリダ州には、トラブルに巻き込まれた人の救助または救助要請を義務付ける法律は存在しない。ココア警察の広報はCNNの取材に対し、「(そのような法律が)あれば立件している」「このような事態に対して誰の責任も問えないことに、遺族も捜査員もやり切れない思いでいる」とコメントした。
警察によると、少年5人はビデオを撮影し、男性がおぼれるのを見た後も、警察に通報しなかった。「少なくとも1人は、捜査員に事情を聴かれても反省する様子を見せなかった」という。当局に通報しなかったこと自体、反省心のなさの表れだとしている。
死亡した男性はジャメル・ダンさん(31)と判明した。家族はダンさんが池でおぼれたことを知らないまま3日後の12日に捜索願いを出し、14日に池から遺体が見つかった。
問題のビデオは家族が15日に入手して、フェイスブックで公開した。「目の前で人が死ぬのを何もしないで見ているような子どもたちが、大人になったらどうなるのか。良心はないのか」と問いかけている。